ヒプノセラピー(催眠療法)の歴史
ヒプノセラピーは、海外セレブが利用していることで近年注目を集めていますが、その歴史はとても古いものです。
古くは4000年以上前の古代エジプト。『眠りの寺院』と言われる病める人を癒す場所があったとパピルスに残されています。寺院の奥に進むにつれて催眠に入る作りになっており、奥に到着すると祈祷師が暗示を与え人々を癒したそうです。
その後も宗教儀式のために用いられ、紀元前500年ごろにはギリシャに伝わりローマ帝国で継承されました。中世ヨーロッパでは”ロイヤルタッチ”(国王に触れると病気が治癒する)や、がんを発生させて取り除く実験が行われた、と文献に記されています。
18世紀には、マクシミリアン・ヘル神父が磁気をつかって多くの人々の病を治癒し、それを目の当たりにしたフランツ・アントン・メスメル(オーストリア出身の医師)が治療に活用し、その効果は絶大でヨーロッパで大流行しました。彼の広めた手法は”メスメリズム”と呼ばれ、近代の催眠の基礎となっています。しかし、確かに効果はあるものの、根拠が証明されなかったため、不遇にもパリから追放されてしまいます。
その後もその効果を信じるメスメリズムの継承者により伝えられ、19世紀には、ジェームズ・ブレイド(スコットランドの医師)により、ギリシャ語の『睡眠』を意味する「ヒプノス」から「ヒプノティズム(催眠)」と名づけられました。(ブレイドは元々催眠を信じておらず、いかさまを暴こうとして研究を始めたというから面白いです。)
19世紀半ばにはインドのメスメリズムにおいて催眠麻酔を成功させ、精神分析で有名な心理学者、フロイトも若いころは催眠を多用してたそうです。(フロイトはコカイン中毒で歯がボロボロになってしまい、うまく話せず誘導ができなかったため催眠を諦めたという逸話もあるくらいです。)
そして20世紀には現代催眠の父であるミルトン・エリクソンによりその手法が確立され、催眠療法は英国医師会、米国医師会によって有効な治療法として認められました。
20世紀後半には、インドの医師であるD・パック・チョプラーが脳の中にしかないと思われた神経伝達物質が身体の細胞にちりばめられていると研究結果で発表し、だからこそ私たちの思考が細胞の一つ一つとコミュニケーションを取ることができる、ということがわかりました。
まさに”人がいるところにヒプノセラピーあり”。
かつては「黒魔術」のような扱いで不遇に扱われてきた催眠療法ですが、その効果が確かなものであることを証明するべく、悠久の歴史の中で廃れず今もなお存在しており、現在では科学的にも解明され、その価値が見直されているのです。
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